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活動報告2023.08.16
16日、台風7号の被害現場視察のため、東県議とともに紀北町・尾鷲市では漁業関係への影響を中心に、谷川県議とともに熊野市・御浜町では、熊野古道世界遺産登録20周年を控える中での花の窟神社の被害や地域の主力産業である柑橘業への被害を中心に視察。紀北町では尾上町長も同行いただく。
熊野市の花の窟神社。日本書紀には「日本最古の神社」と記されており、世界遺産の一部を形成し、大きな岩のご神体や「お綱かけ神事」が有名で、近隣の道の駅とあいまって、県内外からも観光で訪れる参拝客も多数いらっしゃいます。
今回の強風により、根こそぎ倒れた木をはじめ参道いっぱいに倒木などがあふれ、鳥居や綱も損壊。地元の皆さんの懸命の復旧作業により、私がお邪魔した時には、かなりきれいになっていました。このような文化財の災害復旧については必ずしも財政支援が十分でないことから、来年熊野古道世界遺産登録20周年を控え、参拝客や地元のみなさんの安全を守るため、しっかり復旧に向けて汗をかいていきたいと思います。
尾鷲市では、満潮と重なり、南東の強風が、今回の特徴である「長く続いた」ことにより、今までにないような大量の流木等が打ち上げられ、市内の3つの港で12隻の船舶の転覆や沈没。その中には、所有者不明の放置船や、所有者がわかっていても廃船となっているものなどが含まれ、海からの引揚は所有者の責務であることから多額の経費等もあり、思うように進まないことが見込まれるとの声。
港湾区域なら一定の手続を経て、行政代執行が可能でありますが、判断に悩むケースや時間がかかることもあります。人口減少等もあり、地元の他の地域でも同様の事例がたくさんありますので、私としては、自治体任せではなく、空き家特別措置法のような、放置船の撤去のための法整備が必要ではないかと以前から考えていたことを改めて強く感じました。
生簀が壊れ養殖していたハマチ350尾を失う被害も。定置網が海に沈んだり壊れて使い物にならなくなったりという被害もあり、定置網は数千万円するものです。組合や漁師の皆様から異口同音に聞かれたのは、被害があった時の保険となる漁業共済においては、津波のものと比べて台風のものは費用が相当高く、大きな業者しか加入できないとのこと。したがって、被害にあった時、大きな業者には補償がだされて経営が安定し、逆に、加入ができない中小業者は自腹となり経営も悪化するという悪循環が起こってしまう状況となっています。これらの制度改善はもとより、時間がかかってしまうので、局所的な被害を受けた中小定置網業者への支援などの検討が必要です。いずれにしても、農業と水産業のこういう災害時の保険制度の差異が大きいと改めて実感しています。
また、海上保安部尾鷲支所からも聴取しましたが、災害発生前、発生時、発生後の海の安全を考えても、地方の海上保安部の人員増強の必要性も実感。
紀北町(紀伊長島)では、流木の発生抑制のための赤羽川上流の浚渫や雑木の除去、赤土流出による海藻や伊勢エビへの影響の懸念、離岸堤の整備等についてご意見を頂く。
御浜町では、出荷が目前に迫る柑橘のビニルハウスが破れる被害。強風に備え、ハウス内を減圧する措置を講じていたにもかかわらず、停電により、その措置が停止し、ハウスが破れてしまったとのこと。今後の台風時に備えた事前の非常電源装置確保などの対策を既に検討されていました。